「タニカワ先生は、これまでたくさんの企業で働く社員の心と体のカウンセリングをされていますが、メンタルヘルス不調になる人とそうでない人の違いって、何かありますか?」── 先日、新刊をきっかけに取材にお越しになられたメディア編集者の方から頂いたご質問です。
昨年9月に出版しました、『職場のメンタルヘルスケアと実践~ストレス対処のための運動・栄養・休養~』ですが、お陰様で様々な企業や、専門職の方からも嬉しいお声をいただいています。
求められる職場のメンタルの健康づくり
従業員の心の健康問題いわゆる『メンタルヘルス不調』が増加の一途をたどっています。メンタルヘルス不調とは、心の病気です。1999年9月の労働基準局長通達「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」(基発第544号)に基づいて、業務上であるかないかの判断を行っています。心理的負荷による精神障害の労災認定については、2000年に過労自殺の民事訴訟に関する最高裁判所の判決が出てから、職場のメンタルヘルス対策は、法的にも行政的にもリスクマネジメントを中心とする活動として当初はスタートしました。
うつ病などの労働災害や過労による自殺の民事訴訟を未然に防止し、訴訟による企業の社会的評価の低下や金銭的損失を回避するため多くの企業がメンタルヘルス対策を実施するようになりました。(※この文章の出所:厚生労働省大臣官房統計情報部、平成19及び平成24年労働者健康状況調査)
けれどもこのメンタルヘルス対策では、働き過ぎによる健康問題の対策ばかりにスポットが当たってしまいます。
一方で、最近のメンタルヘルス問題としての労働災害認定事例の内訳を見てみますと、いじめや嫌がらせ、セクハラ、パワハラ、対人関係といった職場の人間関係の問題が4分の1を占めています。さらに経営者と従業員の人間関係や、成果主義の導入など人事評価制度の変化などを背景として、職場のコミュニケーションの希薄化や協調力の低下は否めない現状が、今、潜在化しています。
現在、職場のメンタルヘルス対策で、労働環境や労働条件もさることながらこうした社員の縦のつながりや、横のつながりの人間関係のもつれや歪(ひずみ)の対策には、なかなか手が届いていないのが現状です。
求められるのは職場のメンタルヘルス対策への新しい仕組みづくり
社員のメンタルヘルス問題を未然に防止する『第1次予防』としての活動が、今、求められています。来たる3月6日に講演のテーマもズバリ『社員の元気は会社の元気』です。職場のメンタルヘルス対策の第1次予防のためのポジティブ・飲んヘルスセクターアプローチの考え方などもお話しさせていただきます。
ポジティブなメンタルヘルス対策とは
組織心理学や経営学では、従業員一人一人の『元気』なメンタルへの働きかけが盛んになってきています。その中でも、ポジティブな心理的資本(Positive Psychogical Capital)は、生産性に役立つ従業員の心理的な資質を唱えています。
言い換えれば、社員のポジティブな心理的資本は、
1.『自己効力感』という仕事を達成させるのに必要なモチベーションを維持できること
2.現在と将来の成功に対するポジティブな帰属である『楽観主義』
3.挫折からの回復力
の3つから、個人の心理的資本は成り立っています。
ポジティブな心理的資本が高ければ、従業員の生産性と仕事への満足度は増加します。そのために経営者が社員の自己啓発などの研修やセミナーの場を提供することで、従業員は研修や、セミナーを積極的に活用することで生産性が向上してきます。それは生産性をアップさせられる従業員は、ポジティブな心理的資本が高いからです。
ポジティブな心理的資本が高い社員は、社会変化や職場内の環境変化に効率的・合理的に柔軟な対応力で行動していけます。従業員のポジティブな心理的資本を育成するような活動を企業が行うことは、まさに従業員の心の健康づくり、メンタルヘルスにとって大きなメリットとなるのです。
さて、本コラムでは、ちょっと小難しく書いてしまいましたが、秋田商工会ではわかりやすく、終わりの質疑応答ではたくさんの意見が飛び交うような和やかな講演時間となるように努めます。地方での久しぶりの企業経営者様たちとの懇親会もとても楽しみにしています。講演中ですと、人前で個人的意見や社長さんの本音は言えませんものね。厚生労働省や経産省の法整備をいくら強硬に推し進めても企業に浸透できない現場サイドの問題や改善案や突破口が、タニカワの講演「社員の元気は会社の元気~ストレスマネジメント~」を聴き、懇親会でお声がけしてくださりましたら幸いです。
今週は秋田ですが、2019年度は更にパワーアップして全国に回り「職場の第1次予防メンタルヘルス対策」を具体的に推し進め伴走してまいります。
みなさま 今日も元気に ずっと健やかに お過ごしください。
最新記事 by タニカワ久美子 (全て見る)
- ストレス対処に特化したホームページにリニューアル中 - 2021年3月24日
- ストレスを正す!ストレス研修の重大要素 - 2021年3月24日
- 生産性が上がる組織をつくるエモーションストレス管理 - 2021年3月24日


























