「タニカワ先生、社内での一斉運動はやっぱりプロに頼んだ方がいいんですか?」── 総務や人事担当者の方から、よく聞かれるご質問の一つです。
各部署での決裁枠はどこも潤沢にあるわけではありませんので、少しでも資金を節約しながら進めていきたいと考えますし、これは至極当然のことでしょう。何より担当者様の悩ましいところは、健康づくりは短期間で目に見える結果がでないところです。目的は労働安全のため、健康経営のためとはいえ確実に成果が目に見えて表れるまでは、かなりの予算が必要となります。
こう申し上げると、「うちの会社は健康とお金を結び付けて考えない…」と反論される人がいます。しかし、福利厚生費がどれくらいあるか…はともかくとして、残念ながらその思考については、マズイですよとお伝えせざるを得ないケースが結構多いのが現実です。なにがマズい思考なのか…。それは、「ビジネス上、生産性を上げるための健康づくりではない」というパターンです。
これこそが、健康支援を誤っている動かぬ証拠です。冒頭のパブロフの犬化が目に見えてる健康体操などは、まさにその典型例です。断っておきますが、運動や体操が無駄と言っている訳ではありません。むしろ運動や体操をしていないよりは何十倍も社員のため会社のためになっています。
大事なことは、「実行さえすれば良いのではない」ということです。総務・人事に纏わり社員の健康を担当しているプロフェッショナルならば、プロとしての金銭判断が必要なのに、素人の健康感覚で、やるかやらないかを判断していないかということです。例えば、ダイエットをしたい時に、糖質制限が良いからと言って、ご飯を断ったらどうなるかということです。
既に糖尿病の方だったらアリかもしれませんが、健康的に美しく痩せたい…と考えているとしたら、「ご飯断ちだけではダメでしょ?」と誰もが思うハズです。しかし、本人だけは、「手っ取り早くお金もかけないで痩せたいから…」と正当化するでしょう。
こうした思考は、いたるところにあります。
・TVを見てつくった料理と、その道のプロに習ってつくった料理
・趣味のジョギングと、ベストタイムを出すためにしているジョギング
などなど、プロとしてやっていくなら、プロ用を選ぶべきところを、ことごとく誤った思考を重ねる人がいます。思考を誤る最大の理由は、「自分が人事・総務のプロだという自覚が少ない」からです。プロには「プロ用の健康支援」があります。包丁一本でも、家庭用のものとプロ用とではまるで違いますし、一流レストランで家庭用の文化包丁を使っているということはあり得ません。
プロ用の道具は何倍も値段が高かったりしますが、結果をだすことを前提にしたプロ用ならではの価値があります。逆に言えば、このことを理解できなければ、素人の延長で健康支援の真似ごとをしている…ということであり、企業の生産性向上の確率は極めて低くなっていくと言わざるを得ません。
「そんなことは分かっているけれど、自分には決算権がない」との理由逃れされる方もいます。しかし、労働安全や、メンタルヘルス問題の根幹とも言える社員の健康づくりを後回しにして、いったい何のための誰のための必要経費なのか…ということです。
不要不急の支出は驚くほど多いものです。その大半が、「部署として」だったり、「保健師として」という判断でセミナーや研修を考えられています。しかし、企業経営としてビジネスを考えたとき、優先順位は果たしてそれで正しいのか…ということです。
企業として健康経営をしていくなら、先ずご自分の立場よりも、社員に揃えるべき心身の健康支援を最大限優先すべきです。これがプロとしての判断であり、健康経営です。
今回のコラムはかなり手厳しいことを書きましたがあなたなら難なくお解りいただけたことでしょう。あなたは、プロとしての思考を既に備えていますか?
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